住まい手とつくり手とが一緒になって、家族の幸せのための家づくりをすることをめざします

2011年06月27日

核のゴミの行方

今後時間はかかるでしょうが、日本のエネルギー政策も脱原発に向かうだろうことは期待できるし、そうなるような働きかけを我々がし続けることの必要性も感じています。
そして、原発のこと、電気のことで市民が知っておかなければならないことはまだまだたくさんあります。

そのひとつ、これまでの原子力発電によって既に生まれてしまっている核のゴミ、これの行方が今においても宙ぶらりんなままであることは、とても気がかりなことです。


原発がこの世に生まれて40年以上、毎日大量の使用済み核燃料が生み出され続けているのに、日本ではもちろん、世界においてまだ一箇所も最終処分場が無く、一時保管のゴミが溜まり続けているという事実を思うと、すぐにでも原発を中止してほしいとの思いが膨らみます。


日本では、核分裂後の燃えカス「使用済み核燃料」から未分裂のウランや生成されたプルトニウムを取り出す「再処理」をし、再び原発の原料とする「核燃料サイクル」の方法が採られています。

でも全てが再処理できるほどの施設もなく、再処理しても再利用できない高レベル放射性物質が多量に出るので、結局手におえない核のゴミが日々積み上げられ続けている状態です。

青森県の六カ所村や茨城県東海村の再処理工場以内に、ガラスと溶かし合わせ500kgに加工した棒がすでに1700本存在するとのこと。
このまま発電を続けていけば、2021年ごろには4万本!!に達するそうです。


この強力な放射能を発する棒が、元のウランと同程度のレベルに下がるには、数万年かかると言われています。
100年先のこともわからないのに、万年単位とは、、、、。今生きている人類にとっては永久と変わらないですね。


「10万年後の安全」は、世界の先陣を切って最終処分場建設の始まったフィンランドの現場を見せるドキュメンタリー映画です。
10万年後の安全.jpg

フィンランドの原発は、4基が稼動中、1基が建設中、1基が建設予定で、ここから発生する使用済み核燃料を再処理せずに、直接埋設する方法を選択。
18億年前の安定した岩盤地層の深さ500mに巨大な埋蔵場所を掘り、順次埋設し一杯になった坑をコンクリートで埋め戻していくというものです。

2004年に建設が始まり、2020年に操業開始が予定されています。
フィンランド語で洞窟や空洞を意味する「オンカロ」が施設の名称で、10万年間保持される設計になっているそうです。

その建設現場にカメラが入り作業の風景を映し出し、一方でシステム建設を請け負う民間企業の研究者や設計者、政府機関の分析官などプロジェクトに関わる多方面の人物へのインタビューで、映画は構成されています。

そこで監督のマイケル・マドセンが掘り下げようとしていることは、この施設のテクニカルな問題でなく、「10万年後」という時間の設定が、我々人類にとってどのような意味を持つのかということです。

6万年後に訪れると予測されている氷河期を経た後まで、安全を保つことを想定しているとのことですが、
果たして、10万年後の人類にこの施設のことを伝えることができるのか…。
10万年前、今のヨーロッパで暮らしていた人類は、ネアンデルタール人でした。

監督が、地中深くのオンカロの壁に書かれた技術的なメモを見つけ、これは洞窟壁画であると感じたといいます。ただし、狩猟や宗教行事を描いた今の我々にもつながるイメージのものではなく、未来人から見たら、完全に精神性を欠いた世界に映るだろうと。

政府や電力会社にとってこの施設は、原発をもう一基つくるための戦略の一つであり、主眼は「核廃棄物問題の解決」を宣言することであり、10万年間存在できる施設をつくることは、その手段でしかないのであろうということも、背中を寒くさせます。

センセーショナルな表現の無いSF映画を思わせる静謐で美しい映像から、負の遺産を後世に伝えなければならない人類の罪深さがひしひしと伝わってきました。


フクシマの収束が見えない渦中の日本。
だからこそやるべきことはわかっていると思うのですが…。






posted by katsumi at 13:05| 埼玉 ☔| Comment(0) | 関心事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月22日

雨戸レール改修

昨年3月竣工のお宅です。
広い南庭に面した居間に、大きな掃出し窓があります。
01全開放サッシ@.jpg

この4枚のガラス戸は、左右の壁に2枚づつ引き込まれる、いわゆる全開サッシです。
02全開放サッシA.jpg

大きめのデッキも設け開放的でとても気持ちよいのですが、この方式の既製サッシには、、、、一般的な引違サッシでは当たり前の、シャッターや雨戸付きのものが用意されていないのです!

それでは防犯や対台風で困るので、別途雨戸を建築工事で設置したのでした。
雨戸は既製のアルミ+鋼板パネルを使用、戸袋は木製板張り、下レールはステンレス製のTバーを使いました。

当初はスムーズに動いていた雨戸でしたが、日が経つにつれ引っかかるようになってしまいました。
幾度となく下レールを留め付け直したり削ったり、SUSプレートで補強したりしましたが、一進一退で、とうとう奥様はお手上げ状態に…。

下レールを厚板のデッキに直接留め付けていました。
ある程度の板の暴れは想定し、肉厚で頑丈なレールを選んだのでしたが、材の反りや捩れは強力で、上下の不陸+前後のずれでレールを歪ませてしまいました。
03デッキ板反り.jpg

もう調整は諦めて、レールを取り替えさらに安定して載せるため、受け材から設置しなおすことに。

サッシの須藤さんが探してきてくれたレールは、雨戸のリフォーム用部材です。
04雨戸レール.jpg
アングルの立上り部分が段差となってしまうので、この部分はカットすることに。
現場納入までに須藤さんが加工してきてくれました。

05雨戸レール詳細.pdf


茂木棟梁、板金の田島さん、須藤さんの3者の都合のつく日を設定し、一気に造り替えです。

まずは掃出し窓前部分のデッキ板を外すことから。
06デッキ板取り外し.jpg

外した板は、順番を間違えないように積み上げ。
また、同じ板を同じ位置に戻さなくてはなりません。
07デッキ板取り外しA.jpg

既に加工済みの受け材を大工さんが設置したら、そのそばからこれまた加工済みの板金笠木を田島さんが設置。
08-1受け材設置.jpg
これらの受け材は材断も大きく何十年と持たせなくてはならない材のため、水の処理は欠かせません。

次にレールを直接受ける角材設置。
この材は傷んだら取り替えることを想定した納まりとしています。
08レール用下地材.jpg

レールをかわす分だけ短くカットしたデッキ板を、張り戻します。
09デッキ板再取り付け.jpg
ちなみに、手前に見えるこの階段、住み始めてから建主さんがDIYした力作です手(チョキ)

そしてレール設置。
設置高さは、雨戸高さや戸袋部底面の現況高さに合わせることとなります。
10新レール設置.jpg

戸袋から雨戸を取り出す部分。
11新レール設置A.jpg
雨戸を誘導するガイド有り、閉めた時の隙間風を防ぐモヘアも有りで、ただのTバーとは因泥の差。

デッキからの立ち上がりも15mm程度で、以前のレールと変わりません。
12新レール設置B.jpg

雨戸建て込み。
13雨戸建て込み.jpg
スムーズな動きです。

前のレールの不具合で磨耗してしまっていた雨戸の戸車も交換。滑らか〜です。
14雨戸建て込みA.jpg

何度も調整を繰り返した一年近くの間、辛抱強くお待ちいただいた建主さん。
今回の改修費用も快く負担いただき、ありがとうございました!

「雨戸付き全開サッシ」なる製品があれば、このような苦労もなかったわけですが、豈図らんや今回はとてもよい経験をしたと思っています。

やはり建築は、ただの製品の集積ではならない、ということです。
住宅で使われる建材はどんどん進歩(現場にとっては後退?)し、現場では取り付けるだけといった流れが大勢になってきているのは、残念なことです。

現場で工夫し、手を加え、必要なカタチを作り出すといったことが、合理化の名の元に避けられています。
これでは現場での技術は育ちませんし、その建物にとって必要な答えを探すのではなく、建材や製品に建物の方を合わせているようでは、家づくりとしては本末転倒です。

我々設計士も含め、建材製品に使われるのではなく、使いこなす技術を各々が獲得し、よりよい建物を作っていきたいものです。















posted by katsumi at 10:42| 埼玉 ☀| Comment(0) | 住まいの設計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月18日

非電化/原発映画

この梅雨が明けたら一気に襲ってきそうな暑さ。
テレビのニュースや情報番組では、節電しながらの暑さ対策が毎日紹介されています。

わが家の毎年恒例のグリーンカーテン。
先月種をまいたゴーヤとアサガオは、先週の時点でまだこんな感じ。
s-02.jpg

暑さがやってくると、ググッと伸びるんですよね。
今年はキッチン前の小さなベランダの方にも用意しました。


たのしい本を読みました。
藤村靖之さん著『愉しい非電化』です。
book2.jpg
藤村さんはエコライフを推進する「非電化工房」なるものを主催されている、ユニークな工学博士の方です。

この本ではどの家庭でも使われている家電製品が、いかに非効率に電気を浪費するものであるかを、わかり易く数値を上げながら解説しています。
その非効率さを「愉快な結論」と評しているのがおもしろく、便利でなくてはならないと思い込んで使っている電気製品の、ほんとのところを認識しておこうよ、というメッセージが伝わってきます。

藤村さんらが発明した、電気を使わない生活道具がたくさん紹介されています。
熱環境をはじめとした事象のしくみを、物理的にきちんと理解した上での発明品で、感心するものばかりです。

実際の住まいづくりで、どんどん取り入れられそうな仕組みの提案も盛りだくさん紹介されています。
ワクワク愉しく節電ができそうです。



原発関連のドキュメンタリー映画が、埼玉の深谷・川越で上映されます。
関連する講演もあるとのこと!

「ミツバチの羽音と地球の回転」
酒蔵の映画館、深谷シネマで6/19〜6/25
25日には「これだけは知っておきたい 高校生のための原発の基礎知識」著者の小鹿野高校教諭・関根一昭さんの講演があるそうです。

中国電力が進める原発建設に反対する住民の姿や、脱原発を図るスウェーデンのエネルギー政策が描かれています。


「100000年後の安全」
川越スカラ座で7/2〜7/15
7月10日には、あの内山節氏のトークイベントあり。

使用済み核燃料の最終処分がテーマで、無害になるまで10万年かかると言われる廃棄物について、科学者や政治家らをインタビューしたドキュメンタリーです。
この秋公開予定だったものを、原発事故を受けて4月に緊急上映したところ、ツイッターで評判となった作品だとのこと。


どちらも誘い合わせて見たい作品です。



posted by katsumi at 07:03| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月16日

戸田の家―上棟式

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祭祀は、大工工事を担当いただいている国分工務店が、いつも取り仕切ってくださいます。
祝詞をあげる国分社長。
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棟梁→カシラ→設計者→建主さんの順に参拝。
茂木棟梁。
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家の四隅、北東からお清めです。
参拝のメンバーが、それぞれにお神酒・米・塩を持ち、角柱の足元にかけていきます。
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施主直営工事では特に、上棟式はとても大切な意味を持つ行事です。


基本は、建て方が無事済み、今後の工事がうまく進むことを願う儀式で、建て方に関わった職人さんたちだけ出席するのが昨今のようですが…、

我々直営チームでは、大工さんだけでなく、工事に関わる全ての職種のメンバーに集まってもらい、執り行います。

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いつもの直営メンバー大集合。
電気屋さんのみ欠席でした、残念。


建主さんは、激励と感謝を込めて職人さんたちにお酒を振舞い、ご祝儀を送ります。

s-DSCN2140.jpg
職人さんからもお祝いの言葉が続きます。



職人さんたちは、建主さんの厚情に触れ「この家族のために一肌脱ごう」と気を引き締め工事に当たる決意をします。

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〆はカシラの「木遣り」と手締めで。


「顔のみえる関係」をつくるための、第一歩。
建主さんの、本当にうれしそうな顔を拝見できました。

posted by katsumi at 06:30| 埼玉 ☁| Comment(0) | 住まいの設計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

戸田の家―建て方

朝、1階の柱立てから始まった建て方作業。
昼過ぎには2階の柱立てまで済んでいました。
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残るは小屋梁とタルキです。
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地上6mで、4寸(12cm)幅の桁の上に乗り、木槌を振り下ろすのですから、大工さんの運動能力・バランス感覚にはいつも感嘆です!目
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メインの長尺タイコ梁の架渡し。
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桁・小屋梁も完了
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ここで、躯体が垂直に組めたか確認。
チェーンを使って微調整します。
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骨組みの段階で垂直を保つため、仮筋違いを打っておきます。
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次はタルキ掛け作業。

桁材の上に等間隔で埋めてあるものは何か?
s-DSCF2121.jpg
この家ではタルキに角材を用いています。
重量もあるので、桁に金物で留めるだけでなく、このように栓を嵌めることでずれやすべりを防止しします。
角栓なので屋根面の剛性を助ける働きもします。

上から叩かれて、気持ちよく嵌っていくタルキ。
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棟が上がり、タルキを架け終え、無事建て方終了です。
s-DSCF2168.jpg


明日は、屋根野地板を葺き、上棟式を執り行います。




posted by katsumi at 05:54| 埼玉 ☁| Comment(0) | 住まいの設計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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